今の言葉はおそらく本気じゃない。


けど、そうでも言っておかない自分を制御できないんだと思う。


「わかった。うん、わかったよ。それでいい」


葉月くんを理解しろっと言う方が難し話しだ。


だったら、どうしたらいい?


゛優弥を助けてあげて゛


脳裏に流れた夢に現れた葉月くんのお母さんの言葉。


(助けるってどうやって…)


「!」


私の言葉じゃないけど、葉月くんのお母さんが言った言葉だけど、葉月くんに伝えた事で柔らかくなったんだ。


だったら、私にも葉月くんを柔らかくする事だってできる?


(無理かな…)


怖がりで弱虫な私が人の心を変えるなんて…。



(できない…)


「そっか、ありがとう」


笑ってるのに、表情が見えない。


それどころか……。


「…っ」


ああ、これじゃあ、前と何も変わらない。


お母さんに守られて何も知らないまま生きていた自分じゃない。


怖がりで弱虫で泣き虫で何もできない、何も知らない…。


(ダメだよ…そんなの。ダメだよ!)


私が変わらないと何も変わらない。



葉月くんは変わりたいと思っても、このままじゃだめだと思っても、感情が邪魔して自分を抜け出せないんだ。


だったら…私が…。


でも、何をすれば葉月くんは。


(あ、そうだ)


昨日、葉月くんは言っていた。


『守ってあげようか?』っと。


文化祭で言われた時、よく分からないでいた。


もしかしたら、私の存在が葉月くんを動かしているしたら、それが好きになった原因だったら…。


(自信なんて全くないけど、でも…できるのなら)


私は手を伸ばしてもいいかもしれない。