「でも、私には言ったじゃない?」


葉月くんの言ってる事と私にやってる事や言ってる事になんとなくだけど矛盾を感じた。


理解してほしくないなら、だったら言わなきゃいいんじゃないのだろうか。


キスなんかしなきゃ良かったじゃないのだろうか。


違和感。


酷く感じた違和感が脳裏に渦巻く。


「だって、美沙樹は分かってくれる子でしょ? あの人達は分かってくれない人じゃん」


「………」


(分かってくれるって)


なぜか分からないが胸がぎゅっとなった。


おそらくこれは、ドキっとなったとかそういうのではない。


もっとこう切ないものだ。



葉月くんはその時、酷く悲しそうな表情をしていたから。


私は葉月くんを理解出来る程 何も知れてないのに。


「まあ、本音を言うと理解してほしいよ。でも…いいや、そういうの」


「何が?」


葉月くんは息をゆっくり吸って驚く一言を口にした。


「でも、1つだけ言えるとしたら、俺の事を好きにならないでほしい」


「えっ」


流れてくる冷たい風がぴゅうと体に突きつけられた感覚を感じた。


「別に好きになってもいいんだけど、けど、俺は誰かと付き合えないから。無理なんだ、付き合うっていう関係がさ。
…俺には耐えられないんだ」


「………」


「だから、好きにならないでほしい。好きになられても、それ以上の関係は望めないと思うから」


さすがに恋愛知識が全く皆無な私でも、葉月くんの言っている事に違和感を覚えた。


何を言っているのだろうって。