(……っ)


早足でそのままマンションの入り口へと向かった。


マンションを出て、道の方へと足を踏み込んだ時、ドンっと誰かとぶつかってしまう。


「ひゃっ」


前を見ていなかったせいもあって、びっくりして小さく声を出してしまった。


「あ、ごめん。大丈夫?」


声に顔を上げると、恐ろしい程に顔の整った人が現れた。


(うわあ…)


ってびっくりしている場合じゃない。


「大丈夫です。ごめんなさい」


そう言って、私はまた逃げるように去っていった。


(こんなの全部 葉月くんのせいだ)


あんな事をするから……。


もう、明日どういう顔をして会えばいいのだろう。


(あ、でも)


私と葉月くんは元からあまり話さないし、たまにだからきっと大丈夫。


言葉を交わさなければ大丈夫だ。


そう思うようにしたのだった。