「私…帰るね…」


「えっ…あーうん」


峰流さんが来ていてもどうでもいい事だ。


私には関係ないから。


「優〜ってWhy!?」


葉月くんの家から出たところで、峰流さんが駆け足でやってきては、私の姿に驚きを示していた。


「よう」


葉月くんはいつもの調子で挨拶を向けていた。


「よう! じゃないでしょ。なんで美沙樹さんがいるの?」


2度目だけど、そりゃあ疑問に思うはずだ。


「たまたま会ったから料理あげただけ」


「あ、そう」


今回もまた私が追いかけた事が省かれている。


しかも、それで納得されている。


「じゃあ、それだけだったんだ。他は何もないんだ」


(っ!?)


篠原くんの言葉に思わずどきっとなった。


「へっ…んー……ないよ」


(少し間を開けて嘘ついたよ、この人)


「今の間何?」


まあ、でもキスしていたなんて、口が裂けても言える事ではない。



「………」


でもなんとなく、ムッとなり葉月くんを睨む。


だって、あれは私の意思なんて完全に無視されたんから。


(怒ってるんだもん)


「………」


むっと口を膨らませている私をみて、葉月くんは少し目線を泳がせていた。



「いや、別に」


しかも、わざとらしく誤魔化してる。


「…もう、帰る」


「あ、うん」


「えっ帰っちゃうの?」


「うん…」


そのまま私は帰ろうと踵を返す。


と、葉月くんが「美沙樹、またね♪」そう挨拶をしてきた。


「…っ」


この時、何を思ったのかまったくわからないだけど、私は顔を真っ赤になった。


「ええ!?」


「葉月くんのバカっ」


そう言い呟いて、私は逃げるように去っていった。