学校から家へと一緒に葉月くんと話しながら向かっていた。



幸いにもなぜか白石さんに気付かれる事はなかった。



「美沙樹のお母さんって結構若い感じだよね?」



「うん、若いよ」



「じゃあ、若い時に結婚したんだ。
学生時代とかかな? それか親の紹介とか?」



「えっ」



(紹介? 学生?)



葉月くんの言った言葉に、ふち何気なく動かしていた足がぴたっと止まり、同時に頭が戸惑いに変化する。



私…そういえばお母さんの方のおばあちゃんとおじいちゃんの事もお母さんの昔の事何も知らない。



お母さんのご両親は幼い頃に亡くなってるしか言ってなかった。



それ以上もそれ以下も言わなくて、その事尋ねるとお母さんはいつも辛そうな悲しそうな表情をするから尋ねてはいけないものだと察して私は聞くことはしなくなった。



「どうしたの、美沙樹?」


「ううん、なんでも」



「?」



どうしてお母さんは何も話してくれないんだろう。



何か言えない理由があるのだろうか。




家近くまで近付くと、突然、家の中からお母さんの怒鳴り声が聞こえてきた。



「!?」



(今のお母さんの声だよね? でも…)



「今、悲鳴の声が聞えたけど」



「う、うん」



私はすぐさま家に駆け入り、リビングに入ると見知らぬ人がお母さんに駆け寄っていたのだった。



知らない人なのに、なぜか違和感があった。



(誰…?)



「お母さん…」



そっと声をかけるとその人は、私の方を見ては嫌な笑いを漏らした。



「っ!?」



「早くこの家から出て行って!」



お母さんはその人に対して怒鳴り続けている。



「お母さん…この人、誰なの?」



私はおずおずと尋ねてみた。



そしたら、一瞬お母さんは悲しそう表情で戸惑いを見せる。



(お母さん?)