「まあ、美沙樹のお母さんに言われていた事もあるんだけど」


(お母さん?)


そういえば、お母さんが私の事を頼んでいたみたいな事を葉月くんが言っていた。



「まあ、そのつもりだったんだけど」


「えっ」


(そうだったの?)


「まあ、美沙樹が弱虫で泣き虫で弱かろうが気弱だろうが、世間知らずで守らればかりの鳥籠だろうと、でもそれが美沙樹だからね」


「……」


褒められているのだろうか、一応褒めているのだろう。


多分……。



「だからね、俺は守ろうって思ったんだよ。って最近思うようになったんだよ」


「……!」


絡められている指がぎゅっとなる。


「なんで?」


「理由は色々あるけど、ただ美沙樹が心配なだけだよ。零詩は色々言ってくるけど、しょうがないじゃん」


篠原くんはなぜか私と葉月くんが仲良くしているのが気に食わない様子だった。


なぜか分からないけど。


「そう…」


葉月くんは特別。


その想いは当たっているから、葉月くんに心配されても嫌ではないと思う。



「そうなんだ…」


こういう時、どういう反応するのが1番正しいのだろう。


まともに男の子と接した事がなかったせいか、1番良い方法が本気で分からない。


「うん、そうなんだよ」


「あ、あの、こういう時ってどういう反応をするのが正しいのかな? …私、よく分からなくて」


結局、本人に聞いてみるという決断に留まった。


「えっ…えーと」


予想外の質問だったのだろうか、困ったような反応をさせてしまった。


(何か変なこと言ったのかな?)


「あの…その…」


「ああ、そうだよね」


「へっ?」


少しの間を置いてから、私が言った言葉になぜか納得された。


「そうだよね、美沙樹は〜♪」


「はい?」


絡まれた指が顔の隣に上げられて、右太ももに葉月くんの両足がまたがれ、両太もも中心に片膝を付かれる。


そして、葉月くんの体が至近距離になる。



まるで覆われている感じだ。


(なっ…何この状況ー!?)