「ねえ、美沙樹」


「な、何?」


(ていうか、いつまでこの状況なの?)


「!?」


(ええっ!?)


葉月くんの手が私の手に触れ、絡め合うような繋ぎ方をされる。


(こ、これって…こ、恋人繋ぎってやつだよね!?)


「ちょっ…ちょっと待って!」


展開と状況が急展開過ぎて訳が分からない。


私だけがワタワタしているのに関わらず、葉月くんは何ともない振りで続けようとしている。


「文化祭で言った事覚えてる?」


「えっ」


突然言われた言葉に思わず呆然となる。


(文化祭って)


覚えてるけど、どの言葉だろう?


「覚えてるけど…何を?」



「ああ、耳打ちしたやつ」


「!」


(耳打ち…あ)


そうだ、あの時、耳打ちされたんだった。


「覚えてる?」


「うん」


確か、あの時ー。


文化祭の時に耳打ちされた言葉を脳裏に思い出させす。


『俺が守ってあげようか?』


そう言われたんだった。


「守ってあげるって…」



「うん、正解♪」


葉月くんは嬉しそうににこっと微笑む。


「それって、本気で言ったの?」


「うん? 美沙樹に嘘は付いたりしないよ?」


(うん、それは分かる)


その言い方だと、他の人間には嘘つきぱなしみたいな言い方に聞こえる。


(まあ、葉月くんはそういう人なんだけどね)



自分に対してだけど…。