願う先にある想い

ようやく離れておでこをくっつけられる。



至近距離に葉月くんの目と目が合う。



「…っ…ううっ…」



(恥ずかしく、まともに見れない)



なんでこんなに恥ずかしいのだろう。



(お願い、離れて…)



〈ピンポーン〉



「!」



願った矢先に部屋のインターホーンがなったのだった。



「えっ」



「んー?」



その直後、ようやくとして葉月くんは私から離れた。



葉月くんはそのままモニターの方へと向かっていった。



「はあ…はあ…っ」



小さく息を吐いていて、両足をまたソファにあげた。



「葉月くんのばか…っ」



キスされるなんて思いもしなかったから、どういう感情をしたらいいのか分からない。



なのに、嫌じゃなかったっていう言葉が出てしまう。



「バカバカバカっ」



小さくバカと連呼しまくる。



「あ」



葉月くんは困った様子でリビングに戻ってくる。



「…っ」



これ以上葉月くんの顔を見ていると気持ちがおかしくなりそうだ。



(帰ろう…)



そう思い、そっと立ち上がりリュック鞄を背負い、葉月くんの横を素通りする。



「えっ美沙樹?」



「帰る…」



小さな声でぼそっと、一応葉月くんに聞こえる範囲で呟いた。



「えっあ…そう」



葉月くんは葉月くんと意外と呆気無い反応だった。



「あ、ちょっと待って美沙樹」



「………」



靴を履こうとする私に葉月くんは紙袋を渡してくる。



中は渡したい物があると言って見せてきた3つのタッパだった。



「はい」



「ありがとう」



葉月くんの顔を見ると変わらずニコニコしていた。



学校では絶対しない笑顔だった。



それが余計にムッとなった。



(葉月くんのバカ)