「…っ」



そう思うと、目頭が熱くなった。



「ごめ…なさい…っ」



「えっ!?」



今にも泣きそうな表情で謝ると、葉月くんは目を大きく開いてびっくりしていた。



「私…いつも葉月くんに頼ってばかりで、情けないよね…。だから、白石さんに反感を持たれちゃうのかな」



「いや、歌菜の場合は俺に近付く女子全員が腹立ってるだけだし」



「そっか…。でも、いつも頼ってるから」



きっと葉月くんはそんな事ないって否定するだろう。



だって葉月くんは思ってた人よりずっとずっと優しい人だから。



「そんな事ないよ」



(ほら、思った通りだね)



「そんな事気にしてるなんて今更でしょ?」



「だってそうじゃない…私は弱い癖に努力もしないで葉月くんばかり頼ってるもん。でも、怖いから出来なくて」



そんな自分が惨めで悔しくて辛い。



頑張りたくても頑張れない。



「美沙樹はそのままで良いと思うよ。無理に頑張らなくたっていいのに。そのままの美沙樹が1番良いと思う。
変に飾るより自然体が1番良い。俺は飾ってばかりで、本当の自分なんて分かんなくなってるからさ。
…俺からすれば羨ましい限りだよ」



「…っ」



葉月くんはやっぱり他の男の子とは違う不思議な感覚を持っているんだと思う。



私なんかバッサリとした性格の人からすれば、ウジウジして守らればかりの苛つかせる人間に見えるはずなのに、葉月くんはお母さんみたいな事を言ってくれるんだ。



(本当に変わった人…)