「美沙樹はやっぱりまっすぐだね」



「…そうかな?」



今のでも尚私をまっすぐと思ってくれているんだ。



どうしてなのだろうか?



なんで?



「そんな事ないよ。だって、こんな弱虫で意気地なしで、情けない人間のどこがまっすぐなの?」



覚悟があるほど強くもない。



ただ理解ができないから、自分を責めるしかない。



「はあ」



その時、微かな溜息が聞こえた気がした。



「美沙樹…」



声と同時に顔を上げると目の前に葉月くんがいた。



「葉月くん…?」



(なんで、移動して…?)



なぜ葉月くんが移動してきたのか分からず、ドギマギする。



葉月くんはそのまま私の隣に腰を掛ける。



「あ、あの…」



「ねえ、美沙樹。君は気付いてないから教えてあげるから言うけど、俺はね美沙樹が弱くても意気地なしでも情けなくても別にいいんだよ。けど変わらないの、何一つ。君はどんな感情を持とうとまっすぐで純粋で心がきれいなんだよ。だから、納得できないんでしょ?」



「!」



葉月くんは隣で顔を俯いたままはっきりとした言葉を述べた。



その言葉になぜかハっとするものがあった。



「もし俺も同じような事を言われたら納得できるかと考えると納得できるかもしれない。けど、美沙樹はさ…辛いとか苦しいとか覚悟すべきとかそういう感じの言われ方で育ってきた訳じゃないでしょ? だから、自分が惨めとか情けないとか思っちゃうんだよ」



「……」



なんだろう…すごく納得してしまっている自分がいる。



理由なんて一目瞭然で分かる事だ。



だって、葉月くんが言っている事はでたらめとか口任せで言っているのではなく、全てが合っているからだ。



「理解できないからって俺は否定したりしない。天仲さんは理解してるから、家族一員だから理解すべきだとか思っているのだろうけど。あの人が否定しても俺は肯定するよ。理解しようとしなくてもいいと思うよ。できるのならっていう話しだけど。無理なら無理には思わないし、しょうがない」



なんだろう、葉月くんがとても優しいように聞こえる。



いつも優しいけど冷たいことが多いから。



でも、何か違和感というものを感じる。



だって葉月くんは…。