「もう、響ちゃんー勝手に駆けて行かないでよ。
びっくりするじゃないの!」



後からここあさんが慌てるように後を追ってくる。



「ここあさん…ごめんなさい」



「あれ?」



「!」



「あのね、葉月くんがいたの」



見覚えのあったこの道を思い出したので伝えようとしたら、なぜか2人はお互いにじっと見つめていた。



「?」



「この前はどうも…」



「いいえ」



葉月くんは学校みたいに素っ気ない態度だった。



いや、学校以上かもしれない。



素っ気なくなったけど、時々優しさが出ているから。



「えっと、じゃあ…」



先に足を動かしたの葉月くんだった。



そんな素っ気ない葉月くんを目で追っていると、なぜかここあさんは彼を呼び止めていた。



「えっ」



声に驚いた葉月くんは足を止めて、顔を振り向いた。



「そろそろ聞く気起こした?」



「……いえ」



ここあさんは何の事を言ってるのやらっと思っていると、そういえば文化祭の時もそなんな事も言っていた気がする。



「俺はどんなに言われても聞く気はないです」



「…そう」



今度こそ歩きだそうとするが、ここあさんは続けて言葉を告げる。



「ねえ、優弥くん。
1つ良いことを教えてあげましょうか」



「は?」



「…?」



(ここあさん?)



そういえば、なぜかここあさんは葉月くんを気にしている様子だった。



もしかして、気付いているから?



葉月くんの性格に。



でも、私は正直なところ葉月くん自身の事は何も知らないでいる。



私が知っているのは、ほとんど僅かな事だけだ。