「はい、どうぞ」



「ありがとうございます」



ここあさんに促されて促されて、私が気になった洋服を買ってくれた。



「かわいいの、あったね」



「うん、ありがとうございます。ここあさん」



私も何かお礼したいけど、何をしたらいいのだろう?



「あの、ここあさん…何か私も」



「ええ?」



お礼をしようと言うと、なぜかすごく驚かれた。



「いいわよ、そういうの! ましてや高校生にそんなの、それに私がしたいからしてるの。
だから、響ちゃんは気にしないで。…ただまあ、少しだけ傷つけちゃったのもあるから」



ここあさんはとても優しい人だ。



けど、心原の事になると、少しだけ怖く感じるのは気のせいじゃない。



「ごめんね…ごめん」



「………」



ここあさんは何度も私に謝ってきていた。



なぜ謝ってきたのか、だいたいは予想はついていた。



「別にいいよ、そんなに謝らなくても」



謝った所で何かが変わるはずもない。



謝った所で理解出来ているはずもない。



「…ねえ、響ちゃん。私ねあなたにきつい事を言ったかもしれないけど、勘違いしないでね。別にあなたを嫌っている訳でもないし、これからも守るつもりよ」



「……」



「それは由理ちゃんとの約束でもあるからね」



(お母さんの?)



それはそうだろう。



お母さんにとってここあさんは信頼を置ける大切な従姉妹で、私の事を任せられる人だと言える。



お父さんよりも特別で唯一の存在なんだ。



それは、ここあさんの話しの中でも理解出来ていた。