「…はい、どうぞ」


夕食を終え、ここあさんは私にミルクティーを出してくれた。


「………」


カップに手に取り、そっと口に触れる。


(あ、おいしい)


「単純な事がそんなに浅はかかな?」


泣いてしまった理由を私はここあさんに話した。


そしてここあさんが口走った言葉は、意外にも疑問を口にする言葉だった。


「だって…ずっと食欲なくて食べれなかったのに、たった分かってくれる人がいるだけで、喉に通るなんて、そんなの浅はかで愚かでどうしようもない」


悩んでいた自分がバカみたいで最悪に感じる。


まるで自分じゃないみたいで腹が立つ。


これも、狂気からの感情になるものだろうか。



「まあね…自分がどうにせよ…人って結構単純なのよ」


人というものはとても単純な生き物だ。


褒められただけで、すぐ喜ぶし、逆に調子にも乗る。


更に言えば、悪口を発したら、すぐに反発をして、すぐに落ち込んだりもする。


けど、慰められたらすぐに立ち直ってしまう。



そう、単純なんだ人は。



でも、単純すぎる心ほどに辛いものはない。


そんなんで理解したくなんてない。


簡単な事で解決されたら、私が悩んでいた想いはどこに行くというのだろうか。


それが、情けなくて悔しんだ。