「ところで、大丈夫?」


「えっ」


この時、ようやく本題を出したかのように、ここあさんは私に問う。


ああ、そうか。


お父さんから聞いていたのだろう。


今、私の症状をよく理解できる人物はここあさんしかいないのだろう。


「お父さんから聞いたの?」


「うん、そう」


私の問いにここあさんは少しだけ哀しそうに笑っていた。


「……」


(やっぱり…)


「ごめんね…。でも、連絡してくれたらよかったのに」


「……」


出来るはずなら出来ていた。


けど、出来なかったんだ。


私が、未だに狙われていた事を言えなかったように、言えなかったんだ。


単に私に勇気がないだけだ。


「ごめんなさい…」


結局、言えたのは謝る事しかできなかった。


「まあ、いいわ。着替えてらっしゃい」


「うん」


もしかしたら、ここあさんは分かっていたのかもしれない。


だとしたら、いや…そんなの最初から分かっていた事だとしたら。


ここあさんは見た目、明るく気さくな天然のように見えるけど、心原の事を誰よりも理解している人だ。


それだけは、私の中で理解がある。



でも、それだけだ。


それだけなんだ。