カフェを出た後、もう一度あの雑貨屋さんへと向かったけど、やっぱり良いキーホルダーはなかった。


「良いよ、また来るから」


むしろ誘ってくれた事にすごく驚いたけど嬉しかったから、それだけで良かったから。


「………」


買う気なかったとはいえ、少しだけだけど欲しい商品がなかったのが残念な気がするが。


「他の所行ってみる?」と葉月くんは私に提案をしてきた。



「えっ」


「この前、峰流に連れられて行かれたお店結構かわいかったから、美沙樹に似合いそうな気がしたんだよね」


「峰流さんと2人で行ったの?」


「ううん、零詩や他の友達も居たんだけど、峰流に無理やり連れこられたんだよ」


「そうなんだ」


なんだろう、峰流さんと2人で出掛けた訳ではないと聞いて、なんとなく安心している自分がいる。


葉月くんが峰流さんと仲良くしたって、私にはどでもいい事で、別の感情なんて必要ないのに。


「…わあ、かわいい」



葉月くんが言う通りすごくかわいいお店だ。



キラキラふんわりした感じの雑貨商品が置いてあって、少しだけファッションが置いてあってあった。


この辺りは何度も来たことはあるけど、このお店は初めてだ。


そもそも私がよく行く辺りではないというのもある。


(あ)


キョロキョロと辺りを見渡すと、1つの商品に目が入った。


砂時計の形で中には星の細かいビーズが入っていて、砂時計の上にうさぎの顔が付いたキラキラしたキーホルダーだ。


(かわいい、すごくかわいい)


「決まった?」


「うん、これがいい」


きっとこういうのが一目惚れというものだろう。


私は嬉しそうに指を指した。



「了解」


すると葉月くんは、そのキーホルダーを手に持ちレジへと持っていった。


「えっ…」


そしてしばらくして、私の両手のひらにはキーホルダーが入った小さな紙袋が置かれた。



「どうぞ」


「えっと…」


どういう状況だろう、これは。


なんで葉月くんが支払いしてくれているのだろうか?