「ただいまー」



最近、学校から帰っても、おばあちゃんはまだ来ていないし、ここあさんもまだ帰ったままなので、誰もいない状況だ。



「?」



知らない靴が玄関に置いてある。



と、疑問に思っていると、2階から足音が聴こえてきた。



「おかえりー響ちゃん!」



「ここあさん!?」



驚いた事になぜかここあさんに出迎えられた。



「いつ来たの…? ていうか来てたんだ」



「うん、ついさっきね」



「ふーん」



来るのなら連絡してくれたらいいと思うのだけど。



(まあ、ここあさんだしね)



「家はいいの?」



「うん、ようやく終わったから」



「?」



終わったって何をだろう?



「実はね、私ね引っ越す事にしたの♪」



「へえ…」



だから、来るのが遅くなっていたんだ。



「どこに引っ越すんですか?」



「ん〜? 東京」



「へえ」



ここも東京だけど、どの辺だろうか?



そんな事を思っていると、ここあさんがニコニコした表情で「ここ♪」と言う。



「ん? ここってこの家!?」



いや、別にいいかもしれないけど、それって旦那さんも一緒に来るって事だろうか?



「ううん、近くよ」



「へえ、じゃあ、おじさんもくるの?」



「ええ」



「でもあの家は…」



「ん? あれ、私の持ち家じゃないし、心原の家の物で管理しているのが私だから、ついでに住んでいただけよ。旦那の都合で住んでいただけだったんだもの」



「おじさんって…」



「ん? 普通の会社員よ♪ 転勤する事になったの」



「そうなんだー」



てっきり社長か何かと思っていたけど、意外感が。



「まあ、東京に来る理由はそれだけじゃないんだけどな。でも、うちの旦那はすごい人なのよー」



「へえ」