「美沙樹がどうしてずっと疲れている顔をしていたのが、分かったよ。ごめんね、無理に言わせて」


「ううん…」


もしかして、私が狙われた時に無理やり言わせたのを引き目として持っているのだろうか。


「いや、その…前に無理やり言わせちゃったからさ」


やっぱりそうだ。


でも、あれは結局…自分で言うことを決めたんだ。


それに私はまだ、ここあさんとお父さんに狙われていた事を言っていない。


でも、ここあさんは知っていたんじゃないかと思う。


「まあ、いいや。とりあえず、食べて」


「でも、私…」


食べれるかわからないし、食欲もいまいち出るかわからない。


「分かったから、それだけ食べて」


そう言って、またおにぎりを口に押し付けてきた。


「ふぐっ」


「お願いだから、これだけでも食べて」


葉月くんの必死な思いにまたしても根負けして、言う通りに食べる事にした。


またほんの少しのひとかじりひとかじりをする。


「おいしい…」


やっぱり、なぜか食べれた。


「…ごめんね、俺は自分の感情と向き合ってないから、偽った自分を見せていたんだ。けど、俺の場合は元からの事で嫌われていたから、衝撃って事がなかっただけで、傷付いた事の方が強かっただけで、そのせいでこうなっちゃっただけだよ」


葉月くんは少し悲しそう口調で呟いていた。



「・・・・・・」


「君は真っ直ぐだからね、すごく」


そうだったのかもしれない。


だからこそ、こんなにも衝撃的で恐怖に打ち負かされているんだ。


お母さんが何の為に守っていたのか、ようやく理解してしまった。


私はそういう人間なんだって。