「ごめんね、……はあ」



苦笑いをしながら私に向ける。



(やっぱり、難しいのかな。葉月くんを理解するのは)



「……」



私は…どうしたらいいのだろうか?



何もわからない感情が心に渦巻く。



ぐるぐると渦巻いて、奥底には暗い暗い感情が一面に広がっている。



それが、私なのだろうか。



その暗い感情を理解しなければ、取り払う事も何もできなんだ。



(ああ、なんて悲しくて愚かな感情)



「あ、そろそろ戻らなきゃ」



「ああ、そうだね」



ふいにお昼休みが終わる時間帯だと気付き立ち上がる。



2人で戻るなんて、変に思われるのから先に戻ろうと扉の方へと向っていると。



「あれ、なんか落としたよ? あれ…これ」



「?」



葉月くんの呼びかけに戻ってくると、彼の手にしていたのはあのキーホルダーだった。



「!」



そういえば、なんとなく目にしてなんとなくスカートのポケットに入れたのだった。



おそらく立った瞬時に落ちてしまったのだろう。



「これって鞄に付けていたキーホルダーだよね」



「でも、壊れちゃったから」



「確かに付けれないよね」



そうだ、私まだお礼を言っていないんだった。



今なら言えそうだ。



「あの、ありがとう…」



「えっ」



「ありがとう…気付いてくれて。嬉しかったの、すごく」



些細な声だったけど、はっきりとお礼を伝えた。



葉月くんが居てくれたから、気付いてくれたから、来てくれたから、私はここにいるんだと思った。



たとえ本人が否定しても、私はお母さんだけじゃなく、葉月くんのおかげでもあると思った。



そうずっと思ってた…。