いつもより早い時間に家を出る。


眩しい日差しに眩しそうに目の前に手の甲を向ける。


と、玄関が開きお父さんが出てくる。


「一緒に行こうか」


「…うん」


お父さんと朝一緒に行くなんて初めてだ。



「………」


「大丈夫か? 随分疲れた顔してるけど、昨日寝れたか?」


心配されるという事はそこまで酷い顔をしているのだろう。


「ああ、うん。ちゃんと寝たはずなんだけど、なんか疲れ取れてないのかな」


「……」


お父さんは何だか寂しそうな表情で私を見ながら呟いた。


「俺は由理華の事も響の事も何も理解出来ないし、何も分かってやれなくて心苦しいよ。俺からすれば、なんでそんな事で悩むんだとか、もっと簡単でいいんじゃないかって思うんだ」


簡単だったら、きっと楽しい毎日なのだろうと思う。


けど、そう楽になるものではないと、私は知っている。


「けど、そうは行かないんだよな。もどかしい事に。俺も理解してあげられる人間だったら良かったのにと何度も思うよ。きっと葉月くんもそうなのだろうな」


(葉月くん?)


ああ、そうか。


彼も似たような所があって、お父さんにとっては理解しがたいものだろう。


「ごめんな…」


お父さんが理解できないのも当たり前なのだろう。


私だって、まだ何も理解できていないのだから。