それから、数日が経った。



私は未だ狂気の感情を芽生えてしまった事に沈んでいた。



「…痩せた」



結構、精神的なものだ。



体重計を測ると普段の体重から少しだけ減っていた。



元々痩せ型体質で言う程に太る体質でもなかったので、あまり食べてないせいか痩せているんだ。



このままだと拒食症になってしまう。



でも、どうすれば落ち込んだ感情と食欲を戻す方法が分からなかった。



鏡を見るのがすごく怖い。



鏡を見ると目を瞑ると、奥底から出てくる恐ろしい狂気が呑み込んでくる。



それがすごく怖くて、こんな感情今までなかったのに。



ここあさんは未だに戻ってこないし。



ここあさんなら理解出来ているのに、教えてほしいのに。



結局、連絡するのも躊躇している。




翌日、体調も精神も最悪の中、今日も休まずに学校へと向かった。



やはり食べるべきものを全然食べていないのか、体力がなくなっているせいだろうか。



放課後、授業も終わりいつものように帰ろうとして階段を降りようとしたら、階段でつまずき掛け転けそうになる。



「っ!?」



(やばい、落ちる! …あ、あれ力が)



落ちそうになったので力を使って後ずさろうしたのに、力が上手く出なかった。



(嘘…)



辺りには意外にも人があまりいなかった。



「どうしよう…」



ぎゅっと目をつぶった直後、腕に感触を覚えて後ろを振り向くと葉月くんが必死な顔をしていた。



「葉月くん…」



「大丈夫?」



「なんでってふらふらしてたから、気になって」



もしかして、付いてきてくれたんだ。



「ごめんね、ストーカーみたいな事して。でも最近本当に美沙樹変だから…それに、体育の時何度も転けそうになってたよね? 熱でもあるの?」



そういえば、今日の体育は珍しく同じ体育館だった。



「……」



なんだろう、胸がぶわっと熱くなる感覚を感じる。



(すごく落ち着く…)



その瞬間、急に体が軽くなり目の前が真っ暗になった。