「あ、響。やっと帰ってきたんだ」



そっとお父さんが覗かせたが、私とおばあちゃんの会話聞いていなさそうだ。



「響ちゃん!」



「!?」



おばあちゃんの大きめの声に驚きはっとなる。



「どうしちゃったの? やっぱり変よ?」



「響?」



「お父さん…違うの? 美実さんの姉だから、忌み嫌ったりしてないの? 生きてる価値などないとか言われてないの?」



「えっ?」



私の必死な思いにおばあちゃんは私の頬を優しく触って、私の目を見つめてくる。



「そんな事するはずないじゃないの? 家族なのにに…そんな人間がどこにいるのよ。世間は非難しても家族が身内が嫌って何になるのよ。理解出来なくても味方として支えてあげるべきでしょ?」



「………」



何を勘違いしていたのだろうか。



今の感情は何だったのだろう。



「もし、それが本人でも?」



「そうね、反省して周りが理解してあげて支えてあげる。そして、許す感情も必要よ」



価値はちゃんとあるんだ、ここに。



(あ……)



その時、なんとなくお母さんの言葉を思い出した。



(まさか、これがそうなの?)



感情が溢れるように止まる事なく言葉を発していた。



その瞬間、ガクッと床へと膝を付いた。



「響!?」



「どうしたの?」



2人が心配そうに私に近寄る。



「なんて…愚かな感情…なんだろう。
…そっか、お母さんがずっと隠していたのは…これを恐れていたんだ…っ」



この時、ようやく理解してしまった。



私は紛れもなく美実さんと同じ血を通ってる心原の家系である事を。



つまりそれは、美実さんと同じ狂気の感情が潜んでいるって事だ。



ここあさんは言っていた。



『心原の血は呪われた家系で突然狂気の感情を発してしまう心がある』、と。



『一度発症してしまうと何をするかわからないから恐怖』だと。



お母さんは私には狂気な感情など生まれてほしくなかったから、だからわざと隠してたんだ、全てを。



それだけ知ってしまうというのは、中毒性みたいなものがあるのだろう。