レジを済ませ本屋さんを出た時に、ふととある人に声を掛けられる。



「あれ…えっと君は」



「えっ!?」



見知らぬ人に声を掛けられのかと思い萎縮しながらも、声を掛けてきた男性の方を見やる。



(あれ、この人…)



けど、この男性にはなぜか見覚えがあった。



というか、心の感覚で知っている感じがした。



(どこかで会った?)



いや、会ってる…この人、葉月くんの。



「響ちゃんだよね? 美沙樹 響ちゃんだよね」



「はい…」



気弱そうな感じだけど、心からは強さを感じる人だ。



「えっと…葉月くんのお父さん…ですよね?」



「あ、そうだよ。
ごめんね、急に声を掛けて怖がらせちゃったよね」



「あ、いえ」



心の感情を聞けば、悪い人なのか良い人なのか把握できるので、この人からは悪いオーラは見えないから普通に良い人だ。



たまにすごく悪そうなオーラの人がいるので、そういう人は危ういので近寄らないようにするが。



その点ではこの力は有利かもしれない。



危ない人に引っかかる事がないので。



「あの時はたまたま会った程度だったけど、優弥から少し話しを聞いていて、一度会ってみたかったんだ。あ、全然変な意味じゃないよ!」



《あ、今の変な言い方だったかな? 手を出しているみたいに聞こえたかな》



この人、心の声が見える以前に顔に全部出やすい人だ。



葉月くんと血が通っているのを疑う程に全く正反対の人だ。



葉月くんは心の声が聞こえないせいか、何を考えてるのも分からないし、表情にも全く出ないから更に分からない。



それに顔も葉月くんと似ている要素が一切ない。



この人の見た目は優しさのある感じだけど男の人って感じがある。



でも、葉月くん本人は女の子みたいな容姿で、背も小柄でそれでも私よりはだいぶ大きくて、でもやっぱり葉月くんは男の子なんだなって理解する。



まあ、私が小さいだけというのもあるけど。