それから数日が経った放課後、この前、熱で何日も休んでいたのでその分の課題を取りに職員室に行っていて、教室へと戻って来ると教室の中から葉月くんが疲れた表情で出ていく姿が目に入った。



「葉月くん?」



なんとなく気になり教室に入ると、窓際にポツンと立ちすくんでいる白石さんの姿があった。



後ろ姿だから顔は見えなかったけど、背中から沈んだ様子が感じ取られた。



どうしたのかとは思ったけど、近づくとまた頭痛が起きるので近付けない。



それに今は、疲れた表情で帰っていく葉月くんが気になる。



私は少し急いで鞄に荷物を入れ教室を出た。



幸い白石さんは私の姿に気付く事はなかった。



廊下に出て追いかけるかのように駆け足で階段へと向かうと、階段の下に葉月くんはいた。



「葉月くん!」



呼びかけるとすぐに振り向いてくれた。



「美沙樹?」



「ねえ、一緒に帰らない?」と階段を降りて言った。



「いいよ」



「あ、うん」



私はいつも学校からは電車ではなくバスで通学していて、葉月くんも同じようにバスのようだった。



そして、気になったのでバスの中で私は白石さんとの事を聞いてみた。



「ねえ、白石さんと何かあったの?」



「…別に」



葉月くんは愛想悪い言い方でそっぽを向けた。



「別れても関係は続くんだからちゃんとした方がいいと思うけど」



私はありのままの言葉に彼はすぐに答えようとはせず間を置いてから答えた。



「無理だよ…。今でもあんな状態なんだし」



葉月くんはばつが悪そうに言う。



(あんな状態?)



そして葉月くんは、馳せるような口調で語り始めた。