「昔の美実の事は知らないけど、心原は酷い人間しかいないって言っていたけど、君は優しい良い子なんだね」



「いえ…そんな」



酷いって美実さんが言っていたのだろうか?



「そんなに酷い人しかいないのかな?」



「それは違います!」



私は慌てて否定を申した。



「お母さんもここあさんもみんな良い人です!
私は心原の事も美実さんの事もつい最近知ったばかりですが、悪い人ばかりじゃないです。そりゃあ、いけない事です。美実さんがあんなふうになったのも、原因がちゃんとあって、愛情がなかったから」



(あれ…今)



何かのデジャヴ感を感じた。



「最近知ったって…」



「お母さんが隠していたんです。私には同じような感情になってほしくないって。何もかも隠していたんです」



「なるほどね、なんとなく分かるよそれは。けど、隠してたって真実はなくなるものじゃないのにね」



「………」



やはり気のせいじゃない、この感覚。



この人はうちのお父さんと同じ普通の人だと思っていた。



けど、この人はここあさんと似ている人で、葉月くんはお母さんと似ている人だ。



美実さんに感じたデジャヴ感。



それは、葉月くんとお母さんと美実さんとも同じなんだ。



「同じですよね、葉月くんのお母さんと美実さん」



「!」



「性格は全然違いますけど、でも感じているものは似ていますよね」



「…あーそうだね、その通りだ」



葉月くんのお父さんは、今になって気付いた感を漏らしていた。