「僕だって、親戚や周りの態度には納得できないものがあるよ。しょうがないって分かるよ。
最初は怖がってたから。でも、ちゃんと彼女を見れば分かるものがある。けど、見ようともしないんだ彼らは」



見ず知らずの噂だけで知っている人間ならまだ分かるとして、親戚の人間はどうなのだろう。



私も美実さんの事を最初怖いと思ったし会いたくないと思った。



お母さんが殺された時もなんでと思った。



それでも決して恨んだりはしなかった。



お母さんがそう望んだから、それにお母さんの妹だから、そもそも人を恨むなんて間違っているから。



美実さんは私の家族に当たる人だから。



ここあさんから話をきいても、おばあちゃんの話を聞いても、幻滅はしたけど決して恨みたいと思わなかった。



助けたいと思ったけど、勇気を持てなかっただけだ。



そう、勇気がないから。



「私は…美実さんの事で恨みたいと思った事はないです。怖いけど、許せない事だと思ったけど、決して恨みたいとか嫌いたいとか思いたいとは思いませんでした」



「……」



突然美実さんの事を口にして、驚くものかもしれないけど、この人は分かるとも思う。



「そっか、僕もさ脅されて結婚して、無茶苦茶になったけど、結局は恨んだりは出来なかったんだと思う。
僕ってお人好しなのかもね」



そう言って葉月くんのお父さんはにわかに笑っていた。



「でも、あの状況のままの優弥を放って置けなかった。けど、優弥が殺されかけても致しかなかったから。
優弥はああ見えて、僕よりしっかりしていて気が強いから。結局、彼女には酷い仕打ちをしてしまったが、しょうがないんだよ。ああでもしないと別れられなかったから」



そっか、この人もお母さんと同じだ。



タイプは違うけど、お母さんと同じ自分の子供が何より大切で忠実の愛を持っているんだ。



そう、どの親にもある自分の子供に向ける愛なんだ。