願う先にある想い

私は葉月くんのお父さんに、葉月くんの事を話したのだった。



「なるほどね…瑠伊の事を話したんだ」



「………」



「゛どんな人間にも価値がある゛ねえ」



私が美実さんに告げた言葉を、葉月くんのお父さんは繰り返すように口にする。



「あの…」



「どうして優弥はその言葉に反応したか分かる?
どうして自分を作らなくなった本当の理由分かる?」



私を試すように問い詰めてくるが、私には何も分からない。



「…わ、分からないです。
…わ、私は…何も知らないから」



「そっか…。そうだよね。だから、聞いてきたんだよね」



「………」



「それはね」



葉月くんのお父さんは先程の弱い感じと変わって、心の芯から伝わってきた強い心と同じ感情が表情に現れる。



「価値がないって言われ続けていたからだよ。
親戚の人間からずっとね。゛生まれてきた価値などない゛不運な子供゛てね。いわゆる洗脳みたいなものでね。幼い頃からあんなふうに言われていたら、価値があるって言われても納得できるはずがないよ」



「…っ」



胸にキュッと締め付ける感覚を感じた。



これは……。



葉月くんのお父さんは続けて口をする。



「真実を知りたくないのはおそらく、知った所で変わらないって理解してるからだよ。変わるものなんてない。落胆するだけなんだよ、きっと。
優弥は人である感覚を持とうとしないんだよ。
持ってしまうと、自分が惨めになるから、苦しむのはいつだって自分に向けられるから、持ちたくないんだよ。心が壊れていようが汚れていようが心に闇があっても、優弥には何もないから必要性がないんだよ」



浅はかな感情だ。



葉月くんに向けていた感情はあまりにも浅はかだ。



もしかしたら、葉月くんの心が聞えないのは空っぽだから何も聞えないのだろうか?



そうだったら、納得できるものがある。