「その前に優弥とはどういう関係なのか聞いてもいいかな?」



「はい…」



確かにそこは気になる部分だと思う。



どういう関係って言われても、関係も何も近くもなければ遠い関係だ。



けど、それは正解じゃない。



「ただのクラスメイトです。…でも友達って言う訳でもなくて。時々話す事がある程度で、いつも私を気にしてくれる人…です」



「つまり…可もなく不可もない関係って事か」



正直に言えばそういう関係性だろう。



でも、なんだろう。



合ってるはずなのだけど、全然しっくりこない。



「君は特別な女の子なのかな」



「えっ」



「優弥はそういう言い方をしてたよ」



「あいつは外だと別人作っちゃうから、家では素直なんだけどね」



やはり、思った通りだ。



この人の前だと、お父さんだから一番近い人だから本当の素を出せるんだ。



「優弥…また寝れないらしんだ。前にもあってね、あいつは神経質でメンタルが弱いからさ、性格は強くても心は強くないんだ」



以前というのは美実さんの時だろうか。



「あいつには本当の味方っていう味方が居なくてね」



「本当の味方?」



「優弥にとって信用できるものだよ」



(信用…)



「あいつは誰も信用しないから」



「!?」



ずっと違和感を感じていた。



いつからその違和感を感じ始めたのかは分からないけど、でも違和感がずっとあった。



「あいつは信用しないんじゃなくて、信用出来なくなったんだよ。ある日突然…。それ以来ずっと自分を魅せる為にわざと自分を作り出すようになったんだ」



それは、何かがあったから出来なくなってしまったと言う事だろう。



「けど、最近のあいつは少し変化を感じるようになったんだ、そう怪我をしてから。確か、美実に拐われて助けに行ったんだよね? 君は何か知ってるの?」



「………」



他の者にも分かる程に葉月くんは変わってしまった。



それは、私のせいなのかもしれない。