「しょうがないじゃんか」



「!?」



気が付くと、美沙樹に冷たい表情で嘆いていた。



「何度だって思ったよ! 何度だって、自分が普通だったらどんなに良かったか、どんなに母さんが普通の心の感情が良かったかって。でも、埋め込めさせられたらどうしようもないし、一生付きまとうんだよ。
…俺だって、好きでこんな感情持ってないっ好きで罵られていなかんかない。俺は好かれたかったから、あんな真似してたんだよ…」



止まらくて止まらくて、悔しくて辛い気持ちで一杯になっていた。



俺の心はいつだって、悔しさと悲しさばかりだ。



その心に喜びや嬉しさというのはどこにもなかった。



「けどさ、おかしいじゃん。なんであそこまで罵られなきゃいけない訳? 母さんは確かに暴力を奮ったりしたけど、最初に傷付けられたのはいつだって母さんだったんだよ! 人助けは優しい心を持っていたから出来た事で、誰にも簡単にできるものじゃない。勇気がなかったらできない事なのに、なのに母さんの本質を無視して意味なく殴ったという噂だけで突きつけ判断されて、そのせいで母さんがどんなに追い詰められた事か、あいつらは知りもしないんだよ!誰も理解しようとも疑問を感じる人間なんて1人もいなくて、ただ罵って存在自体否定されるなんて、そんな悲しい事ある!?」



美沙樹に溢れる感情を嘆いても意味のない事は分かってた。



他人からすれば事件を起こしたから非難されるかもしれない事だと思う。



それでも、やり方や噂に理不尽さを感じて煮えくり返るぐらいに納得できない自分がいる。



母さんの事をお父さんに聞かされた時、子供ながらに世間という理不尽さに怒りを覚えたのを、はっきりと覚えてる。



他人を信じらなくなったのも、これも原因の1つだった。



「最後の最後まで意味嫌われたままなんて納得できないよ! 確かに事件起こしたのはいけないだよ。暴力も切るのも良い事じゃない。けどねけど、相手が母さんにした事を無かった事にするなんて、全て母さんが悪いみたいな言い方が何より許せないんだよ! 隠して何になるの?悪い事をしたから罵って存在を否定して何になるの?なんで誰も母さんを知ろうとしてくないんだよって」



俺が自分が罵られていいと思っても、罵るのだけは許せないんだ。



それは、今でもずっとずっと思っている事だ。



「それが、何より悔しくてたまらない。俺は別に自分がどうなったっていいと思っている筈なのに、どんどん自分が無様になっていく気がする」



本当にどうでも良かったんだ。



自分なんて…なのになんでこんなにも悔しくて仕方ないのだろう。