美沙樹のスカートの膝の上に頭を乗せながら、俺はゆっくりと口を開けた。


「決して変に思わないでほしいのだけど、これはある俺の知り合いの話しなんだけどね」


「うん」


「その人の容姿はとてもかわいい人で周りからの評価もとても良い素敵な女の子なんだ」


それはまるで、俺と同じような待遇を受けている人だ。


「けど、その人はとても問題のある一部分があったんだ」


「問題?」


正直、その部分だけは似なかったのは幸いだと言える。


「その人はとても喧嘩早くて不良ではなかったんだけど、弱いものいじめとかする人間が大嫌いで仕返しとして暴力で助ていたんだ。でも、その周りからからの評価や強さから悪い不良の奴らに目を付けられたんだ。生意気とか威張ってるとか理不尽な言いつけばかりされていて、そのせいか喧嘩ばかりしていたから学校や周りから問題児というレッテルを張られていたんだけど、評価は本当に良かったからそれほど注意することはしなかったらしいんだ」


「………」


おそらく、俺が喧嘩早くないのは父親の性格が反していると考えられる。


まあ、口が悪いのは似てしまったのだろうけど。


「その人を憎んでいる不良達は多くて、ある日、不良達はその人に謝りたいと称し呼び出されたんだけど、それは罠だった。不良達はその人は女の子という事もあって大切な部分を奪ってやろうという計画を実行する為に呼び出したんだ」


「大切な部分?」


「そう、女性にとって大切な部分」


美沙樹は決して妨げる事なくじっくりと耳を傾けてくれていた。


とりあえず、今のは理解しているのかは分からないが、とりあえず話しを続けた。


「その人の身に起きた事件に恐怖と憎しみをその不良達に覚えて、不良達のアジトにナイフを手に潜入し、全員集まった所で問答無用で切り殴り蹴りと復讐をしたんだ。その時の彼女は悔しさと悲しみでぐちゃぐちゃだったそうなんだ。きっと彼女は喧嘩なども復讐もしたかった訳でもなかったはずなんだ。でもそうしなきゃ自分を守れない理由があったんだ。それでも結局は女性だから負けてしまうんだ」


「それは…良い事ではないよね」


「そう、むしろ悪くなったんだよ。傷害事件を起こしたとされて捕まったんだ。しばらくして釈放されたけど、不良がその人がやったことなどお咎めされる事もなく、ただ事件を起こしたという悪い人間というレッテルが張られるようになったんだ。事件を起こし停学処分を下されて停学が解けて学校に行くようになっても、以前のような信頼も評価は嘘のようになくなり恐怖の対象人物とされたんだ。それがさらに彼女のトラウマの心に追い打ち掛けられて、学校に行けなくなり閉じこもるようになり、結局辞めお終えざるなったんだ」



「………」


美沙樹は頷くことがなくなったけどじっと耳を傾けていた。


「けど、彼女は周りの当たりを受け止めれる程強くなかったんだ。何日経っても経っても彼女の心は柔らくことはなく、むしろどんどん溝に落ちるばかりだった」


「それで、その人どうなっちゃったの?」


「自殺しようと考える程までに心を病んだんだよ。けど、1人の男性に寄って救われて鬱状態から脱出できたんだだよ」


「あ、そうなんだ」


美沙樹は安心そうな表情で俺に向ける。


他人の話しに1つでも良い事になると自分のように喜ぶ事ができる。


それが、きっと美沙樹の良い所なんだろう。


俺も他人の良い事のエピソードはおそらく喜べるけど、自分と捉えるとなると心からは喜べないのかもしれない。


それは、俺が他人に興味がないからだろうか。


(本当に俺は病んでいるんだな、俺は)