「もし美沙樹の身内のそういう人が居たらどうする? 怖いから近づかない? それとも他の親戚と同じように理解せず噂だけを信じて悪い人間だと罵る?
……美沙樹はどうする?」



美沙樹は何て答えるのだろうか?



俺はどうしてこんな母親の話をしようと思ったのか分からないけど、ただ美沙樹の考えというかどう思ったのか聞きたかったんだ。



他の人に話してもまともな答えが返ってくるとは思わない。



でも、彼女なら何か特別な何か…いや、おそらく俺が考えている言葉をくれるんじゃないかと思っている。



それが、ただ思い込みの想像をしているだけの、愚かな想像だとしても。



「うーん、そうだね」



美沙樹は最初膝枕した時は恥ずかしすぎて俺の方を見ようとせずあさっての方向ばかりを見ていたのに、いつの間にか俺の顔を見ながら話しを聞いていた。



「その人が酷く罵られて、酷く辛い日常を送っているのなら私は歩み寄ってあげて理解してあげたいと思う。
それに、理不尽じゃないかな、それは。だって、誰にも理解されず恐れられるなんて可哀想」



「………」



(ああ、やっぱりそうだ)



思った通りに美沙樹はこういう子なんだ。



「……ふっ」



「!」



美沙樹の答えに俺は小さくほろこび、彼女の膝から起き上がりそのまま隣に座る。



「やっぱり美沙樹は美沙樹だなー」



褒める言い方でぐーっと手を伸ばし伸びをした。



「あの、その人がそこまで病んでしまった理由って酷い事されたから? なんかそれだけじゃない気がするの。親戚の方に酷く罵られてまた病んだりしなかったの?」



おそらく、その質問は美沙樹だから言ったんじゃないかと思う。



美沙樹はまっすぐだからこそ人の心を分かるだけじゃなく、美沙樹はお母さんや美実さんの事や力の事もあるから、だから敏感に理解したいという感情があると思う。