「天仲さんは今から買い物とかですか?」


「ええ、今日は朝から忙しい日だったのよ。ようやく終わったわ」


「? 仕事ですか?」


「ええ、さっきまで打ち合わせだったから」


「へー」


「…ねえ、色々聞いてくれない?」


よほど俺が素っ気ない反応だったのか、天仲さんはなぜかつまらそうだ。


「えっ…。あ、じゃあ、天仲さんて何のお仕事してるんですか?」


「じゃあって…。優弥くんって他人の事、全然興味ないでしょ?」


「えっあっ分かるんですか?すごいですね。そんな事を言われたの初めてですよ」


父さんや零詩は俺が変わったから見抜かれたけど、まだ出会ってまだしの方に言われたのは初めてだ。


素の口調で話すようにしただけで、根本的にはいかにも人に興味を持つ態度で接しているから、本当は全く興味がないなんて誰も気付いていない。


「前から思ってたけど、信用している素振りを見せかけて信用してないでしょ?」


「まあ、そうですけど。というか、基本的に信用したくないです。天仲さんは他人ですけど、そこまで嫌じゃないですよ。むしろ理解のある人だなって高感度ありますよ」


「それはどうも、素直に喜ぶべきなのかしら?」


「喜ぶべきだと思いすよ? 他人には全く興味ないですけど、褒める事なら何回でも出来るんで」


「あら、そう…」


「でも、よく分かりましたね」


普通、素っ気ない態度とっても他人に興味がないなんて、すぐに分からないものだと思う。



「だって…響ちゃんの時の優弥くんは素だったでしょ? でも文化祭で見た時の優弥くんは明らかに人が違ってたし」


「これでも、一応良い人演じるの辞めたんですけど、需要性がない事に気付いて」


「優弥くんは悪い人じゃなくて、良い人でしょ」


「そういう事じゃなくて、無理やり良い人感を出していたんですよ。助けられる事ないかなって探していたっというか」


「あーそれははた迷惑な優しさね」


「ズバっといいますね。まあ、そういう事です」


「でも、優弥くんは元から良い人でしょ?」


「………」


零詩も美沙樹も同じような事を言う。



結局、元からの本質だからそうなるのだろう。