すると、不意に葉月くんが呟いた。



「だからか、あの時あんな質問をしたのは」



「あ、うん…」



「じゃあ、保健室によく行くのって」



「ストレスからの頭痛」



「じゃあ今の熱もそうなんだ」



「まあ、そうなんだけどね」



「?」



私は少し曖昧な頷きをした。



いつもの感じなら゛そう゛だと頷けるかもしれない。



だけど、今回は今までと大きく違う感覚がある。



私は戸惑いがちにあの子の事を言い出した。



「あのね…あの子、白石さんとはちゃんと話したほうがいいと思うの。それにこのままじゃあ…」



「なんで?話すも何も一応別れているんだけど」



と、キョトンとした顔で言った。



「えっ」



別れてる?



もしかして、葉月くんが別れを告げているのに関わらず、白石さんが追いかけてきたという事?



そう問いでみたら、「うん」と頷かれた。



(だから、いつも複雑な表情をしていたのね)



でも、どうしてあんなに可愛い子なのに。



何が不満なんだろうう?



だけど、そのことについて尋ねる事はできなかった。



どういう訳か……。




疑問を抱いた事を口に出したりはしなかった。



その代わりに白石さんの心の中に感じた事を話した。



「歌菜の感情?」



「うん」



「どんなの?」



こんな事、彼に言ってどう思うか分からないけど、私の力を信じてくれたから。



「えっとね、なんか怖かった」



「えっ」



「なんていうか、悪魔のような真っ暗な闇に包まれている感じだった」



「悪魔?」



すると葉月くんは何かを考えこむような仕草を取った。



やっぱり、あの子との間で何かあったのだろうか。



悩むべき必要な事が……。