願う先にある想い

「そっくりなんですよ。母親と性格も心の感情も全部。それが全部全部腹立たしく嫌いなんですよ」



経験も全く違うはずなのに、痛みも思いもトラウマも全てが同じように感じるのが酷く嫌なんだ。



嫌で嫌で仕方ない。



「ねえ、優弥くんはさ…自分が生まれてこなきゃよかったって思ったりするの?」



「……そんなの、何度も思いますよ。
俺は父さんの方の家系に嫌われてますから」



母さんは決して疫病神なんかじゃない。



「美実さんにずっと言われていましたから。
…母さんが死んだのは俺のせいだって」



「お母さんはどうして亡くなったの?」



「交通事故です。…子供を助けようをしたんです。
それで亡くなったんです。その時、俺も側にいたんですけど、母さんはひかれそうになる子供を見つけて助けに道路に走ったんです。子供は助かったけど、母さんは病院で亡くなったんです」



母さんは喧嘩早くて手につかない問題児な人だったけど、とても優しい良い人で臆病で傷付きやすい人だったんだ。



けど、事件を起こしてからの母さんに対しての認識は、゛怖い人゛゛悪い人゛という認識でそれは今も変わらない。



だれも理解してくれる人はいなかった。



父さんと母さんの両親以外は。



俺の出身地の町には、母さんは危険で悪い人という認識で有名で知っている大人は忌み嫌われている。



事件を起こしたから危険で悪い人という認識をいつもする。



その人の本質や感情を理解をせず勝手に決めつける。



「あの、天仲さん。人はどうして人を傷つけるんですかね? 俺は母さんの性格は嫌いだけど、その人が悪い事をしたからってその人を危険だって決めつけて、本質を分かろうとしない人の方がもっと嫌いです」



「…私はあなたの事もお母さんの事もよく知らないし、あなたも話したくないのだろうね。でも、一番恐ろしくて醜いのは何なのだろうね? それは自分かな?
それとも他人? ようするに人だよね。どんな人間でも一番自分が恐ろしくて醜くて怖いのかもね」



「…それは天仲さんも当てはまるんですか?
…もしかして美実さんも?」



「うーん、そうね」



曖昧な反応にどっちにも取れる反応に見えるけど、おそらく取れるとも言える。



「…俺はどっちなんですかね?」



「うーん、どれにも当てはまらないのかもね」



「えっ」



「だって、あなたは持っていないでしょ?
それにね?」



曖昧な言葉が心に響く。



それは俺が他人を信用しなくなったからだ。



興味ない人間を信用したって意味のない事だって。



俺はずっと意味のない事をしていたのだろうか。