願う先にある想い

いつものようにスーパーへと夕飯を買いに向かった。



最近は怪我もあってまったく自炊できなかったので、ようやく治ったので久々の料理だ。



そこまで酷くなかったので、意外と早く治った。



縫って傷跡は残ったけど、腕と同じで目立たなくなるまで時間はかかるだろう。



食材を買ってスーパーを出てしばらく歩いていると、見知った人物を目にする。



「あれは、天仲さん?」



天仲さんは歳の近い女性と親しく話しているようだ。



(友達かな?)



そういえば、天仲さんって東京の人ではなく美沙樹が心配で来てくれていると言っていた。



今は美実さん事もあるから帰れないだろうけど、終わったら帰るのだろう。



(あ)



友達らしき人と笑顔で別れて、俺の方へと踵を返した。



「あら、偶然ね、優弥くん。
買い物帰りかしら? 手はもう平気なの?」



俺に気付き、嬉しそうに駆け足で寄ってくる。



まるで、飼い主が大好きな飼犬や元気な10代や20代の女の子みたいな反応だ。



この人見た目若そうだけど、確か30代だったと思うけど。



(すごいな、無邪気というか若いというか。
羨ましいぐらいだ)



俺は素を見せるだけでも苦労しているのに、そういう性質の持ち主なのだろう。



歌菜もそういうタイプで、本質としてはいい子なのだけど、かたが外れると手に負えなくなるから困ったものだ。



美沙樹は正反対で俺とも正反対で大人しい内気な子だから、そういうのはしないのだろう。



「あ、はい。もう治ったんで。でも、傷跡は目立ってますが」



「あら、本当ね。でも、油断しちゃだめよ。
もうしばらくは使わない方がいいわよ?」



「わかってますよ。これでも縫うの2回目なんで」



「えっそうなの?」



「あ、はい。大した事じゃないんで…」



ああ、また嘘を付いた。



本当は大きな事だと言うのに。



精神的にダメージを与えらてしまったというのに。