そんなはずない。



強いはずがない。



だって私は臆病で弱虫で泣き虫で守ってもらもわなきゃダメな人間なのに、それなのに強い人間な訳ないのに。



「違うよ…そんなはずないよ。私は…私なんか強いわけないよ。だって、守られているんだよ。…そんな人間が強いはずないよ」



「なんで、そんなこと言うの? 俺はさ、心が真っすぐじゃないから、頑張っても向ける事ができないからあれだけど、真っすぐな感情が向けれる人には真っすぐにいてほしいと思うよ。美沙樹は俺と違うじゃん」



他人からすれば葉月くんも同じようだと言えるのだろうか?


けど、彼は普通の心を持っていないんだ。



そういう人なんだ。



「本当に強い人は自ら挑んでいかないよ。俺はそんなことしない」



「でも、私を助けに来てくれたよ?」



あれは葉月くんが強いからできたことじゃないのだろうか?



「…そうかもしれない。
でも、最終的には体が悲鳴を起こしたんだよ」



「悲鳴…」



そういえば、葉月くんあの日、私が目が覚めたら倒れて心療内科の方に運ばれたってここあさんが言っていた。



結局、何か病気にかかっているのを聞きそびれてしまったけど、本人はあまり聞いてほしくないのだろう。



「心が強かったら、苦しくなったり倒れたりしないでしょ? 俺は我慢はできるけど一定が過ぎると我慢できなくなってあの時みたいに倒れちゃうから」



葉月くんの中にある苦しみなんて私には理解できるものではない。



理解できても本人が納得できなかったから何の意味もない。



それに、私は葉月くんの事を何も知らない。



知らないから知りたい願望はおそおらく彼にとって邪魔なものに過ぎないのかもしれない。



だったらどうしたらいいのだろう?



どうすればいい?



美実さんとも白石さんとも違う。