お母さんが失くなっても、私の扱いは同じで守られたままだった。



私はこれからもか弱いままで何もできない守られたお人形さんのままなのだろうか?



鳥籠の小鳥と一緒だ。



「私だっていつまでも、大事にされ外を知らないお人形さんや鳥籠の小鳥のままなんて嫌なのに。分かってる、自分は何も出来なくて誰かに助けて貰わないと生きられない存在だって。ずっとそうだったから…。けど、少しでも自分の足で立ちたいって思っちゃだめなのかな…?」



言葉を紡いている内に瞼が熱くなり、気付いたら涙が溢れて止まらなくなっていた。



「ふっ…うっ…っ」



「……っ」



私の必死な感情に葉月くんの右手を握りしめる様を微かに見えた。



「あーもうっ!」



「!」



葉月くんの声と同時に右手が伸びてきて、気付くと体が引き寄せられていた。



(えっ)



「…えっと、あのあのっ」



「いいからっじっとしてて」



いきなり引き寄せられて、慌てる私に葉月くんはイラつきながらも静止させる。



(どっどうしたら…えっとえっと…)



あまりにもいきなりで、しかもこんなに顔が至近距離で体が触れていて、心臓が爆発しそうだ。



「……!?」



髪を撫でられて、顔をくっつけられている気がする。



(あわわわ〜)



心臓がバクバクしすぎて思考回路が真っ白で働かない。



「別に強くならなくても、美沙樹は充分強いよ」



「えっ」



ようやく口にされた言葉に私は目を丸くした。



(強い? 私が? どこが?)



葉月くんが発した言葉に、心臓が爆発しそうなぐらいのバクバクしていた心臓の音は、疑問と同時にかき消された。



「強くなんてないよ?」



「そういう強さじゃなくて、心が強いんだよ」



(心?)



けど、私は素直に肯定できず、むしろ「なんで?」という感情の方が強かった。