願う先にある想い

葉月くんはあまり嬉しくないような表情のまま扉を開ける。



【ガチャ】



「また、盗み聞きしてんの?」



「?」



「いや、違うよ違うって」



「何が違うんだよ…」



私もベンチから立ち上がり、葉月くんの近くに近寄ると、篠原くんとここあさんがいた。



「ここあさん?」



「………」



ここあさんは少し苦々しい表情で申し訳なさそうだった。



「たまたまだって!」



「へー」



というか、葉月くんの会話聞いていたって事だろうか?



それは少しというか結構恥ずかしいのだけど。



ここあさんまでもが……。



「ていうか、探していたんだけど、ファッションコンテスト終わってから勝手にどっか行ったろ?」


「…うるさいな、別にいいだろう。1人になりたかったんだよ」



「ていうか、最近ずっとそうじゃん。お前寝てる?」



「寝れないんだよ、悪いか」



「いや、そんな言い切らなくても」



(寝れていない?)



葉月くんの口から出た衝撃発言に目を張る。



「ほら、行くよ」



「あ、ちょっと」



葉月くんはイラつく表情で首を抑え階段の方へと歩いていく。



「ねえ、優弥くん」



「はい?」



ふとここあさんが葉月くんに声を掛ける。



「手はもう平気? 縫ったんでしょ」



「ああ、だいぶよくなりましたよ、大丈夫ですよ」



「そう、よかった」



ここあさんはなぜか葉月くんを気にしているようだった。



よく聞いてくるけど、「葉月くんとはあまり話さないから」って言うと、なぜかきょとんとした表情をしていた。



「ねえ、聞きに来る?」



「えっ」



「聞きに来たいなら、響ちゃんに言って」



ここあさんは葉月くんに何を言っているのだろうっと思っていたら、葉月くんはすぐにその意味に理解した。



「ああ、はい。分かりました」



「?」



そうして今度こそ葉月くんは階段を降りていき、その後を篠原くんが追っていったのだった。