願う先にある想い

分かってる。



葉月くんを知るって事は覚悟しなきゃいけない事を。



「大丈夫! 私、強いから」



そう言って、ニコッと笑顔を向けた。



自分は強いと思っていなくても、強いと思ってくれている葉月くんを信じる事はできる。



「……本当っ…ダメだよ。美沙樹みたいな良い子がさ俺みたいな奴に興味向けるなんてさ」



「!」



葉月くんはまた私に触れてくる。



今回は肩に顔を乗せているだけだ。



「あ、あの…」



「もう…俺は別にこういう事に気づきたい訳じゃないんだよ」



「えっ」



「なんでもない」



「? …っ」



触れている葉月くんの顔がそっと動き耳元に移動する。



「…えっ」



耳元で囁かれた言葉に私は動揺というよりはどぎまぎした感覚を感じた。



そっと体から離れて葉月くんは私に微笑みを向けたられた。



「あ…えっと」



その笑顔を真っ直ぐ見れなくて、思わず逸らす態度をとってしまう。



(あっ)



そして、すぐに気付いた。



今、笑っていた事に。



ここ最近、葉月くんの姿を笑っていなかった。



それはクラスの子達も言っていた事だった。



「っと」



そのまま葉月くんはベンチから立ち上がり、屋上庭園の出入り口の扉に向かおうとする。



と、途中で何かを思い出したかのように踵を返してこちらを振り向く。



「そうだ、いい忘れたよ」



「?」



「赤ずきんの衣装かわいいね」



「っ!? えっ」


(かっかわいいって…かわいいって…!?)



突然、「かわいい」って言われて、思いもしない動揺にあたふたしてしまう。



(えっとえっと、あ、そうだ)



「葉月くんもかわいいよ!」



私はなぜかドヤ顔で言い切ってやったという表情をする。



「…反対でしょ、それ」



喜ぶと思ったのに葉月くんはあまり嬉しそうじゃない表情になった。



「まあ、言われ慣れてるからいいけどさ」



やはり、葉月くんも男の子だからだろうか。



慣れているとはいえ、かわいいって言われるのはあまり嬉しくないのかもしれない。



「………」



葉月くんを見つめると「やっぱりかわいい」って思ってしまった。