「ありがとう、弥佳ちゃん。手伝ってくれて」



「ううん、裁縫得意だから。むしろ楽しかったよ」



裁縫苦手というか家では裁縫も手を出させて貰えなかったから、基本的には学校でしか習っていないので作り方がいまいちだ。



「弥佳ちゃんって家庭的だよね」



「そんな事ないよ、普通だよ」



私からすれば家事出来るのがすごいのだけど。



「うちは共働きだしまだ小さい弟がいるから、いつの間にか出来るようになった感じだし」



「ふーん。私はお母さんに守られて育った感じで、危ない事からことごとく避けられてきたから、世間知らずと一緒だから私…。でも、そういうのが普通なのかな」



「まあ、その家庭によるから。気にしなくていいと思うよ」



「でも、弥生の家お金持ちなのに」



「うん、お手伝いさんもいるけど、私が好きでやってるだけだから」



お母さんはもういないし、ここあさんやおばあちゃんにご飯とか作って貰ってるけど、少しはできるようにした方がいいのかもしれない。



(けどな〜)



昔の経験があるからまともなものができるか恐ろしい程に不安だ。



あれのせいでお母さんは私に料理の手伝いはしないでとか、怪我しそうなものは手を出さないでと言われたぐらいだから。



「うん、可愛いね」



「わお、かっわいい」



「杏ちゃん、弥佳ちゃんすごいね。
フリル作れるんだよ」



「へーすごいね、凝ってる」



手伝ってくれたのは嬉しいけど、正直言うとスカートが短すぎる気がする。



「スカート短くない?」



「別に今日ぐらいはいいと思うよ。
スパッツ履いてるでしょ?」



「それはそうだけど…」



仮装ってこういうものだろうか。



「ねえ、杏ちゃん」



「うん?」



「それ、作ってないよね?」



「うん、買った!」



(だと思ったよ…)



玲杏ちゃんは気ぐるみだけど、絶対に作ってない気がした。



まあ、買うのは禁止という規定はないからいいのだろうけど。