「でもさ、我慢していたことよりも自分を見せる事もずっとずっと辛い」



葉月くんは段々体が震えながら言葉を吐き出していく。



「…いいよね、みんな。自分を出せて。迷いや苦しみもなく出さて。俺はある日から他人に素を出す事を怖くなった。今だって無理やり出しているせいで、感情が恐ろしく苦しくてつらい」



「………」



(あ…)



その時、ここあさんが私に言っていた事を思い出した。



あの日、家に帰ってきてここあさんにあることを言われていた。



その時は疲れていたせいか、あまり気にしていなかったけど、あれは葉月くんの事だったんだ。



『彼、かなり危うい精神よね…。少し心配になるぐらいに。わざわざ感情に蓋をしなきゃ生きられないなんて、理解できる人はどれだけいるのかしら?』



そうか、葉月くんは私は全然違うんだ。



でも、私が葉月くんを理解できるとも思えないし、真っすぐでいられるかもわからない。



けど、葉月くんからすれば私は、羨ましい程に真っすぐで、だからこそ強い心を持っていると言っているのだろうか?



「ねえ、どうして…私は強いと思うの?
それは、まっすぐだから強いの?」