「あ、優〜帰ってきた!」



教室に入り俺の姿に峰流が仔犬のように駆け寄ってくる。



中学の時も前の高校の時もこういう仔犬系の女子はいた。



こういう突進タイプ系の女子は基本的に考えている事が丸見えで、ある意味で美沙樹とは違った真っ直ぐさがある。



けど、興味の持つ程のものではないのは確かだ。




だからといって、美沙樹とどうにかなりたい訳でもない。



正直、恋愛はしたくないのが本心だ。


歌菜の事で変な感情が埋めつけられたせいでもあるが。



「響〜」



ようやくして美沙樹も教室に入ってくる。



美沙樹の友達の七崎が戻ってきた美沙樹に抱きつく。



「杏ちゃん? どうしたの?」



「遅い!」



「ごめんね」



ああいう女子同士の抱きつきは違和感はない。



「女子同士は抱きついてんじゃん」



「………」



「男同士はキモいだろうが」



「えーそうか?」



零詩は基本的にこういう奴だ。



少々、普通の感覚とズレている。



「……」



「…!」



なんとなく美沙樹を見ていたら、ふと彼女と目があい慌てるように目をそらした。



(やっぱり、酷い言い方しちゃったかな)



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