「なんで…っ」



私の謝る姿に葉月くんは心苦しい声を漏らす。



「それじゃあ、まるで美沙樹が悪いみたいじゃんか…」



(そうだね、そうかもしれない)



私が葉月くんを傷つける真似をしているのだろうか?



うん、きっとそうだ。



「そうだね…私が悪いのかな」



私の言った言葉の過ちによって葉月くんを傷付けてしまったのは事実だとしたら、否定する言葉もない。



「…違うよ…違う…美沙樹は悪くなんかない!」



葉月くんはまたイキり立つように声を上げ、私の手を掴み立ち上がらせベンチに座らせる。



「葉月くん…?」



「なんで、そんな悲しい事言うの? 美沙樹はただ真っ直ぐに俺に伝えただけでしょ。 なのに、それなのに、さも自分が悪いように決めつけるの? 俺は君に傷付けれた感覚なんてない。むしろ俺が君を傷付けているんじゃないかって思ってるぐらいなのに…」



私の感情を完全に否定するように、切なそうに訴えてくる。



「美沙樹は理解しなくていいよ…。
君はそのままで向けてくれればいいから」



それって逆を返せば、私に何もしないでほしいって言っているようにも聞こえる。



「私は結局 守られたままなの?」



「えっ」



「それって要するに゛何もしないで゛って言っているみたいじゃない…。そんなに私は弱いの?」



葉月くんはずっと強いままで生きてきたから私の思いなんて分かるはずなんてないと思うけど、でも私だって弱いままなんて嫌だから。



「私だって守られてるだけなんて嫌だよ…。
強くなりたいのに…なれないから」



強い葉月くんが羨ましくて、守ろうとしてくれるお母さんやここあさんが心苦しくて、どうして私は何も出来なくて守られているだけなのだろうって、いつもいつも疑問だった。



でも、何かしようとしてもお母さんに止められるから出来なくて同仕様もない。



お母さんに逆らったらきっと怒るから出来用もない。



けど、お母さんが笑顔でいられるのならそれでよかったんだ。



でも、お母さんはもう居ないから…。