願う先にある想い

「なんで…なんで?」



(近寄ってくるの?)



近いというよりはすぐ側に座られているのだけど。



どうしよう?



何を話したらいいのかわからないのに。



(あ)



ふと目にした左手の包帯。



「手…大丈夫?」



「ああ、うん。痛みだいぶましになったよ」



「そっか」



ダメだ…話題 出てこない。



(どうしよう…どうしよう)



「もしかして、俺のこと避けてる?」



ふいに呟いた言葉にはっと葉月くんの顔の方を見上げる。



「えっ」



「なんか、そんな気がして…」



そんな事ないと言いたいけど、案外間違っていない。



「だって…葉月くんは私のこと嫌っているんじゃあ…」



「えっ?」



私の言った言葉になぜか葉月くんは驚いた表情を私に向ける。



「なんで? 俺が君を嫌わなきゃいけないの?
美沙樹は俺に何か酷い事した? 何もしていないよね?」



「……」



(えっ何それ)



つまり、それは私が勝手に思っているだけで、葉月くん自身は何も思っていなかったんだ。



「でも、この前、私にいきり立つ言い方したから…だから、嫌われてるんじゃないかって思って…」



「それは…」



私の言葉に葉月くんは時が停止したように口元が止まる。



「だからその…ごめんなさい。
私、無神経なことを言ってしまって」



そう考えると、今までもずっと私は葉月くんに無神経なことをずっと言い続けていたんだ。



「葉月くんは感情が出るようなことは知りたくないんだよね。私は知らなきゃ何も変わらないと思っていたんだよね。けど、違うんだよね…葉月くんは。…ごめんなさい」



謝ることしかできない自分がもどかしくて仕方ない。



人には人の考えがあるから、無闇に否定するってことは単にその人自身を否定することになるだけだ。



そんなの人としてもしてはいけない事だ。



たとえ知らないとはいえ、考えもなしで言ってはその人が可哀想なだけだ。