願う先にある想い

「なあ、価値のある人間ってどういう人間だと思う?」



「えっ?」



「美沙樹が…いや、美沙樹のお母さんが言ってたらしいんだけど、どんな人間にも価値や意味があるって言っていたんだ。でも、俺は価値がある人間と価値のない人間と分かれると思うんだよ。…お前はどう思う?」



価値が誰にある言葉なのだろう?



いったいどれだけの人間が当てはまるのだろう?



「んー確かにお前は当てはまらないよな」



「!」



(ああ、そうだ)



俺の事を理解している人間は決して否定しないんだ。



「だってお前…心が壊れてるからな〜。正常な感情持ってないし病んでるから」



「そうだよね…俺は価値ないよね」



「価値は確かにないけど、存在意義はあるんじゃない。他の人間からすれば、お前自身が良い人を辞めようと思っても結局は優弥は優弥で変わらないだろ?
結局は優しい人間に違いないだろ?お前は最初から優しい奴だったじゃん」



「…っ」



そして、褒めるように否定するんだ。



「優しくなんかない…俺は心が弱いから…ずっと変わらないから」



「そうだな…」



ふと気付く。



いつの間にか涙が流れて止まらなくなっていた。



自分が虚しいからとか悔しいとかじゃない。



美沙樹の心があまりにも強くて真っ直ぐで優しいから羨ましくて、俺の事など知らなくていいのに知りたいとか言うから、自分が苛立って仕方なかった。



「…なんで、価値なんてないのに、なんで、知らない方が傷付かず済むのに、なんで、いつも真っ直ぐなんだよ…」



「優弥…お前はいつだって優しい奴だよ」



「俺は悪い人間の方が良かった。なんの価値も意味もない。ただ感情に意味を持たないのに…なんの意味を持つって言うんだよ」



負の感情が出てくる。



優しい感情はいつも偽りでしか出なかった。



俺の心から出る感情は、虚しさや悔しさや苛立ちしか出てくれない。



どうして傷付いただけで本当の感情が出なくなってしまうのだろう。



本当の感情をどこに置いてしまったのだろうか。