願う先にある想い

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【ガチャ】



屋上庭園の扉を閉めて校舎の階段を降りる。



「よう」



すぐ近くの階段の途中の踊り場で零詩がいかにも待っていたかのように手を向けて立っていた。



「…盗み聞きしてんじゃねーよ」



「あれ、気付いてた?」



「気付いてる、最初から」



「口悪いな、本当」



「うるさい」



零詩はいつも勝手に盗み聞きする。



悪い癖だ。



「ていうか、どうしたの?今日は良い人しないんだ?
何かあったの?」



零詩は気付いてる。



俺が素を出している事。



「辞めたの…めんどくさくなって」



「はあ?お前今まで俺が何度言っても意味があるって辞めなかったじゃん。だってお前の良い人キャラ作ってるようで気持ち悪かったし」



「だから、辞めたの。無理やり良い人ぶるの。
どうせやったって意味がないから」



良い人を演じて良い人だと認識させようとしても、何の意味も持たない価値のない行いだと理解してしまったんだ。



美沙樹が美実さんに言っていた言葉に。



どんな人間にも価値や意味がある。



本当にそう言えるだろうか。



じゃあ、俺がずっと行っていた偽りの感情を他人に向けていた行動は意味あるっていうのだろうか?



いや、ないでしょ、そんなの。



「お前、やっぱり何かあったんじゃ。その怪我って?」



「美沙樹が美実さんと歌菜に拐われたから助けに行ったんだ。でも、美沙樹が刺されそうになったから」



「助けて怪我したって事?」



「うん…」



「そっか」



零詩はそれ以上の事は問う事はしなかった。



本心としてはしてくれてもいいんじゃないかと思った。