今回の事もお母さんの時と同じように大きなニュースとなっていた。



美実さんは何年か前に一家を殺害した容疑も掛けられていたらしく、今まで捕まらなかったのも不思議な事ぐらいだった。



ここあさんとお父さんは事情聴取されたが私には一切なかった。



私はあくまでも誘拐された人間で、美実さんの事を知ったのもつい最近だったから。



私と優弥くんの事はあまり一切触れない報道情報だった。



単に私は誘拐された人間という情報だけだった。



ただ、白石さんは未成年だから名前を出す事はされず共犯者として捕まったという情報だけだった。



「……はあ」



美実さんを説得できたの奇跡だと言える。



あれは説得出来たのかよくわからない。



でも、美実さんの心に響かせたのかは分からないけど、心に聞こえたた感情というのは、微かに揺れていた。



それは確かだったんだ。



美実さんは悪魔のような感情を持っているけど、その心というのは、脆く虚しく弱い人の心を持っているのだと思う。



人との心というのは恐ろしい。



一瞬にして脆く弱い心を持ち合わせる。



「私もいつかそうなるのかな」



私も美実さんと同じ血を通っているので、絶対ならないとは言い切れない。



ここあさんは『心原には秘密がある』って言っていた。



それは、力についてだろうか?



それしか考えられない。



「この力って何なのだろう」



(美実さんも持ってるのかな?)



そういえば、私に対してなんでそんなにまっすぐなのか美実さんは聞いていた。



あれって…。




「……はあ、なんか疲れちゃった」



昨日から嵐のような怒涛が起こりすぎて、色んな意味で精神的にも疲れた。



そのまままた瞼をゆっくりと閉じた。



どうして人は人同士で憎しみを生み出すのだろうか?



もっと幸せに生きられたらいいのに。



それができないから、1人になっていくのだろうか。



(ああ、悲しいね。人はいつだって)