「ん? ………あれ…私」



目が覚めると、病室の天井が目に入った。



「あれ、体痺れてない?」



そうか、効果 切れたんだ。



「響ちゃん! 大丈夫?」



「ここあさん…お父さん」



「よかった、体はもう平気?」



ここあさんは私に抱きつき泣きそうな表情になっていた。



私の体は本当に何もなかった。



おそらく何かの痺れる薬を飲まされたのだと、血液検査から出たらしい。



いったいどうやって手に入れたのだろうか疑問があるようだが。



「明日、警察に行って事情聴取あるのよ。
ああ、響ちゃんは別にいかなくいいみたいよ。事情何も知らないからって」



「そっか」



「じゃあ、帰ろうか。これ鞄。警察の方が届けてくれたの」



「…ありがとう」



目覚めてしばらく検診した後、痺れも消えていたし全く問題ないからすぐに帰る事ができた。



(あ…そうだ)



「あの、葉月くんは?」



病室を出て葉月くんがいない事に気付き、ここあさんに尋ねる。



「ああ、優弥くんはその…」



「心療内科にいるみたい」



私の尋ねにお父さんははっきりと答えた。



「心療内科?」



「手当てした後に倒れちゃって、彼 病気持っているみたいで」



「えっ」



その時、何思ったのか気が付いたら足を動かしていた。



「響ちゃん、どこ行くの?」



「葉月くんの所」



「でも、まだ調子悪いかもしれないし」



「それでも、葉月くんは私を助けてくれたんだよ」



「……響ちゃん」



そう、葉月くんはいつも私を助けてくれた。



いつもいつもそう。



今回だって助けてくれたから。