願う先にある想い

「さて、と帰るか」



「えーもう少しいようよ」



「お前さ、単にお茶しにきただけだろ?」



「うん、よく分かったね」



私も同じように立とうとしたら、篠原くんが私の肩に手を置き「美沙樹はもう少しいたら?」と言われた。



「えっ」



その言葉に思わず篠原くんの方を振り向くと、葉月くんは「ああ、そうだね」っと静かな声で呟いた。



「えっと……」



「話したい事があるから聞いたんだろう?」



「あ…」



篠原くんはそのまま立ち峰流さんの腕を掴み出ていこうとする。



「えっ美沙樹さんは?」



「いいの。帰るよ」



「えー?」



「話しがあるんだって」



「ふーん」



峰流さんも残りたいのか、少し納得できない表情で玄関へと向かう。



「………」



葉月くんは静かにカップに入っている紅茶を口に含む。



(どうしよう…)



いきなり2人きりなると、何から話したらいいのかわからず、思わず黙り込んでしまう。



「ねえ」



「ん?」



「零詩に聞いたの?」



「えっあっうん」



「そっかあ」



篠原くんが葉月くんの家を教えて連れてきてくれた事に、ほろこんだ様子をしていた。



「あいつ、結構良い奴でしょ?」



「…うん、そうだね」



「いかにもインテリメガネぽいけど、言う程頭よくないけどな」



「でも、数学とか物理とか英語はいいよね」



そういう所はインテリな感じはするけど。



「ああ、まああいつは一定分野ばかり追求するタイプだから」



篠原くんと友達なのにたまに友達なのか?という時があるけど、こういう事を言うのは友達な感じがする。



「篠原くんと仲良しだね」



「まあ、幼なじみだしな。あいつだけは信用できるからね」



「……そっか」



信用できる友達がいるのは大切だと思う。



「………」



そういえば、白石さんは信用できる友達はいたのだろうか。



私はどう考えても彼女と親しくなれない。



おそらく、白石さんの事も美実さんの事も一段階が終えただけで全てが解決した訳ではない。



美実さんの心の闇は何一つ取れた訳でもない。



心は何一つ変わっていないのだ。



ただ、最悪な事態、私が殺される事だけが避けられただけで何一つ変わっていないから。