《ねえ、起きて。響起きて。
起きてくれないと殺されちゃうよ!》



「……うっ」



お母さんの声が聞えた気がした。



不快な体調の中、目を開ける。



何だろう、体が痺れて上手く動けない。



そういえば、美実さんから何か飲まされた記憶がある。



(何だろう、声が聞こえる。外から?)



痺れる体を起き上がらせて、そっと窓の方へと覗かせる。



「!? …葉月くん?」



《助けに来てくれたのよ》



「えっ」



またお母さんの声が聞こえた気がして辺りを見渡す。



「気のせい…だよね」



でも、どうしたらいいのだろう。



体が痺れて上手く動けなくて、思うように頭が働かない。



《反対側なら見つからないから、こっちから出よう》



「ああ、そうか。こっちなら大丈夫…まただ」



この感覚、私は知ってる。



だって、これはおばあちゃんと同じ。



まさか、そんな。



《由理華はずっと側にいるよ》



そういえば、そんな事をおばあちゃんは言ってくれていた。



もしそうなら、おばあちゃんの言葉が本当なら、先程から聞こえるお母さんの声は、お母さんが側にいるって事?



痺れる体を動かし反対側の扉を開けそっと地面に出てそのまま座り込んだ。



「だめだ…上手く動けない」



たったのこの動作でも辛く座り込んでしまい、痺れて立てそうにない。



「どうしよう…どうしたら」



美実さんはおそらく私を殺そうとしていると思うんだけど、なんだろう私に対する殺気というのは全く感じない。



それは確かなんだけど。



それに、お母さんが死ぬ夢は見たけど、私自身の夢は見ていない。



それに、おばあちゃん言っていた。



私はまだ殺されないって。



という事はそういう事なんだと思う。



けど、今の痺れた体だと美実さんの所まで行けるかさえも疑問だ。



《体しんどいの?》



「うん、痺れて上手く動けなくて」



やっぱりお母さんだ。



お母さんがここにいるんだ。