「ねえ、歌菜は自分が何してるか分かってる?」



「もちろんよ。だから、優弥も一緒に行こう」



歌菜は自分のした事何にも分かっていないんだ。



俺以外見えていなんだ。



(ああ、最悪だよ)



「俺はお前と一緒になんて行く訳ないだろ。
なんでわざわざ共犯にならなきゃいけない訳?」



「優弥…どうして分かってくれないの?
あたしはこんなに大好きなのに!」



歌菜はそう言って、また俺に抱きつく。



「手伝ったでしょ、架菜。美沙樹のお母さんを殺すの」



「!?」



俺の言葉に架菜はビクッっとする表情をする。



図星だ。



分かってたよ、知ってるから。



「だって、しょうがないじゃない。
あの子を居なくなるにはこれしかない。どんなに狙っても守ろうとするから、だったら先に殺せば守る人間もいないって美実さんを手伝ったの」



歌菜はおかしくなっていて、取り返しの付かない事になっている事に気づいているけど、気付いていなんだ。



ずっと夢や幻のような感覚でいるのだろうか?



ああ、でも、手放したのは、そうさせたのは俺だ。



けど、理解できないのはいつだって俺なのか。



環境のせいなどしたくないけど、いつだって環境がすべてだったんだ。



(最初はいつだって良かったのにな)



いつから俺もこんなに、黒くておかしくなっていてしまっていたのだろう。



(はあ、自分が惨めに思えるよ。
けど、どうしようもないって事くらいあるよな)



あるんだ、絶対に。