「！」



トイレの帰り廊下に篠原くんと葉月くん2人でいる所を見つけた。



不意に思ったけど、やっぱりあの二人って結構仲いいんだ。



（元々友達だから当たり前だよね）



篠原くんが来た当初はケンカしてたけど、今じゃそんな様子もないし。



などと考えていたら⸺。




「優弥！！」



「！？」



一人の女の子が突然葉月くんの名前を呼び、近づき抱きついたのだった。



「会いたかった！ ようやく会えた！！」



女の子は嬉しそうな顔でそう何度も言った。



でも葉月くんは、驚愕な目をしながら体を硬直していた。



「なっ…！」



葉月くんは驚くというよりは、混乱している表情だった。



「歌菜ちゃん！！」



「あら、零詞くん」



すると、篠原くんが荒らげた声で、その女の子を呼んだ。



篠原くんの事も知っているようだった。




彼女は…。



彼女は噂されている転校生だった。



しかも、玲杏ちゃんが言って前の学校にいた彼女だった子でもある。



用するに、彼女は葉月くんを追いかけてきたようだ。



彼女の名前は白石 歌菜〈しらいし かな〉ちゃん。



廊下の時にたまたまいたので聞いてしまったが。



親の都合で転校してきてしまったとかそういうものではなかった。



白石さんは親に無理言ってこの地域の親戚の家で居候させてもらっているのだそう。



そして、今に至ると。



それを聞いた時、ものすごい執着心と行動力のある子だと思った。