願う先にある想い

そして、美実がいるとう現場から少し離れた所で車を止めて、優弥くんはそのまま降りようとする。



「ねえ、優弥くん。1つだけ聞いてもいい?」



これだけは聞いておきたかった。



もし答えによっては、私はあなたに対しての接し方が変わってしまうのかもしれない。



味方として見れないのかもしれない。



「何の為に響ちゃんを助けようと思ったの?
それは、歌菜ちゃんの為?」



何て答えるのだろう?



もし私の思った通りの答えをするのだろうか?



「歌菜は…俺を求めているだけの可哀想な人間です。
けど、俺は最初からあいつを求めていないです。
俺はただ余裕を持ちたかっただけです。…美沙樹は俺の中では何一つ当てはまらなくて…ただあの子は、真っ直ぐすぎて綺麗すぎて、俺と関わるべきじゃない。
だけど、そうさせたのは俺だから。助けないと本当に後悔するんです」



「………」



彼の答えは私の予想していた答えと何一つはてはまらず、むしろ斜め上だった。



「…そう」



もし彼がまだその女の子に何らかの未練のようなものがあったら、彼を信じるのをやめようと思っていた。



けど、優弥くんは歌菜ちゃんに対して最初から愛情を持っていなかったんだ。



どうして、優弥くんはそんな感情を持ったのだろう。



好きでもないのに、なぜ付き合っていたのだろう。



それが不思議で仕方なかった。



不思議な子…。



美実とも由理ちゃんともそして響ちゃんとも全然違う。



ううん、響ちゃんはおそらく心原家に属さない子なんだ。



心原の闇に直面していなから、ただ恐怖という感情しかないから、心がとても清らかな子なんだ。



それが、由理ちゃんが求めていたものだったのかもしれない。